男性の育休、進めばメリット(産経新聞)

 父親の育児参加などを促す改正育児・介護休業法が6月に施行されるのを控え、東京都文京区の成沢広修(ひろのぶ)区長(44)がきょうから15日まで、有給休暇を取得する形で育児休業に入る。男性が育休を取りやすい環境づくりを進めたいという。男性の育児について、専門家は「人生のプラスになる」「社会保障の担い手を増やす効果も」とメリットをアピールする。(草下健夫)

 ◆職場にもプラス

 「区の男性職員の育休取得はゼロでしょう。自分から取って発破をかけてみては」

 父親の育児を推進するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の安藤哲也代表理事は成沢区長と旧知の仲で、子供が生まれると聞いて、こう提案していたという。成沢区長は2月に長男が誕生した。

 3児の父である安藤代表理事は「共働き家庭なら家計の責任が2人にあるのに、育児の責任が一方にいくのはおかしい。それに、初めて歩いた、しゃべったなどと子供の成長をライブで見られる育児は楽しい。多くの男性に、それに気づいてほしい」と言う。「保育園や小学校といったコミュニティーに子供が“入場券”となってかかわれることも人生を楽しむ上でプラスになる」とも。

 男性が育休を取るためのアドバイスとして、安藤代表理事は「自分の考えを早くから上司や同僚に伝えておく。また、日頃から仕事をため込まないことやコミュニケーション能力も大切」と話す。

 「男性はとかく、この取引先、取材先は自分の責任などと考えがちだが、それぞれの仕事をほかの人もできるようにする態勢作りが職場にとって大切なはず」。さらに、「育児はいろいろなことを時間内に収めるマルチタスクの仕事。だから子育てをした人は仕事のメリハリや効率も良くなる」と、職場への好影響も指摘する。

 ◆労働力に“遊び”を

 福祉の経済問題に詳しい尚美学園大学の丸尾直美客員教授も「スウェーデンでは15年ほど前に男性の大臣が出産育児休業を取り、それを機に男性の育児休業が浸透した。成沢区長のケースも日本での前例になりうる」と評価する。

 丸尾客員教授は「社会が出生率低下に危機感を抱き、政策や制度で対策を取ることで、日本も出生率がU字型に回復する」と予測しており、「男性の育休取得が進めば、その有力な手がかりになる」と分析。

 ただ、職場の課題として「日本では『自分が休んだら同僚に負担が行く』などと考え、育休を取りにくい環境がある。一方、ほかの先進国では従業員が各種の休みを取りやすいよう、労働力に余裕を持たせるのが当たり前。労働力に“遊び”の部分がないと男性の育休取得は進まない」と指摘する。

 「女性の就業率と出生率の両立こそ、社会保障の現在と将来の担い手を確保することになる。男性も育児に積極的に関わることは、豊かな社会を築くために必要」と、丸尾客員教授は強調している。

                   ◇

 ■男性の育休取得率 わずか1・2%

 厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業取得率は平成20年度に90・6%だったのに対し、男性はわずか1・23%。それでも8年度の0・12%、17年度の0・5%に比べ、わずかながら上昇した。同省の担当者は「企業が就業規則などを整備した結果ではないか」とみる。

 6月30日施行の改正育児・介護休業法は(1)配偶者が専業主婦(夫)でも育休を取得できる(2)父母とも育休を取得する場合は1歳2カ月(現行1歳)まで可(3)生後8週間以内に父親が取得した場合は再取得可−などとされている。

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